カオフラージュ
37
光学園の前には数台のパトカーと救急車が赤色灯を回しながら停まっている。規制線のロープの向こうではたくさんの鑑識の係員たちが動き回っている。
担架で運ばれる川島のそばに付き添いながら歩く愛。
「大丈夫ですか? 川島さん」
「ああ、なんとか急所は外れていたみたいだ。命に別条はない。私より君の方こそ、撃たれただろう?」
「ああ、でもかすっただけですから、たいしたことないです」
「しかし、これじゃ自分のために救急車呼ばせたようなもんだな。まさに刑事の勘ってやつか……ハハ……イテテ……」
「もうそんなこと言っているからですよ」
救急車に担架が運び込まれると、最後に川島がウインクした。サイレンを鳴らし、車が走り出す。愛はそれを見送った。
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